ピンクさんとゆず風呂。




"アンタ、来週も来なよ。
アタシが採った野生のゆずをココに入れんの。
ゆず風呂。冬至でしょ。"

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ピンクさん。私が週一で通ってる公共温泉でよく会う人で。私が勝手にそう呼んでるだけで名前も歳もどこに住んでるかも全く知らない。ただ 彼女がいつも薄いピンク色のタオルを頭の上にちょこんとのせて外湯に浸かっており、ピンク以外の色のタオルをこれまで一度も見たコトがない、彼女の目印の色だ。いつ会っても几帳面なショートカットの灰色の髪の毛にその薄いピンク色がとてもよく似合ってて... この手の公共温泉の発掘に忙しい私だが、ここの湯に浸からないと本当の疲れを拭えない。湯質のせいなのか、ひょっとしたらピンクさんのせいなのかも知れない。



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野生のゆずが浮かんだ露天風呂に入れるなんてさぞかし気持ちよさそうだなぁ、と。「来週もきますよ」と答えたらピンクさんは「まぁ、無理強いはしないけどさ。それに最近の若い人ってゆうのは忙しいから」と。誘っておいてアテにはしてませんよ、みたいなふうだった。私は「必ず入りにくるぞ」とまるで楽しみでならなかったというのに。

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さておき。
ピンクさんはおしゃべり好きだが、なんにも聞かないしゆわない。
ただ一度だけお湯の中からスっと手をだしたかと思ったら親指を立てて、
「アンタ、コレいるの」って訊かれたときには、ビックリしたのとその仕草が妙に様になっていて、おっかしくて笑っちゃったことがあった。
「笑ってごまかすってコトは、3人いるんだね」と勝手に肯定されたまま、
「アタシはお先に〜」と、頭においたピンクのタオルで体を覆って中に入ってく様子の可笑しかったこと!

そのピンクさんと一緒に彼女自慢の野生のゆずがプカプカ浮かんだ露天に浸かった。

「アンタ、ホントにきたね」

と言われ。聞いた時からこのゆず風呂をタノシミにしていたこと。こんな贅沢な湯に浸かれるなんて本当にありがいと思う旨をと告げると、

「まぁ、いいさ。来年アタシが生きてたらまたもってくるよ」

と。どこまでもクールなピンクさんの口調にしびれた。

さらにしびれ上がったのは、その後だった。
上がってったはずのピンクさんから脱衣所にほどなくして呼び出された。3つのゆずを「車の中に残ってたから、アンタにやるよ。そんな好きなら家でも入りな」とゆって、裸のままの私を残して去ってった。初めて衣をまとったピンクさんは、風呂の中であうのと印象が違って見えた。思えば、普段着はおろか。洋服を着ている姿すら知らなかったんだなぁ、と。裸の付き合いってこうゆうことを言うのかしら、と思って暖かい気持ちになった。



野生の香り高いゆず3つ。
ありがたく頂戴して帰宅。
今年の冬は風邪なんてへっちゃら!
きっと元気に過ごせるだろう。
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by zeauxzeaux | 2008-12-21 20:43 | a matsumoto
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